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山崎先生の診察②

山崎先生とのお話の続きです・・・

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●悪性黒色腫というガン

「山崎先生に いろいろ聞きたいことがあるのですが やはり 悪性黒色腫というガンは 特別なガンなのですか?」

「そうですね。 現在は ガンの研究がとっても進んでいますから 進行の遅いがんで 早期発見であれば まず ガンで亡くなるということはなくなりました。 ガンは 早期発見であれば亡くなることがほとんどなくなっているのに 悪性黒色腫というガンは 早期発見でも 亡くなるケースが多々あります。 悪性黒色腫が厄介な点の一つは 進行が速いということです。 ガンって いろいろなガンがありますよね。 胃ガンや 肺がんや 肝臓がんなど。。。 たいてい どのガンも 染色体が似ているガンがあるものなのです。 例えば 胃がんと大腸がんが似ているとして 胃がんに効いたら 大腸がんにも効くかもしれない・・・ と 似ているガンがあると 同じような治療ができて 治療の幅も広がります。 しかし この悪性黒色腫というガンは 他に 似ているガンがないのです。 似たようなガンがないので 悪性黒色腫のガンは何者なのか? 正体がわからない上に 絶対的な治療法がないという点が もう一つの厄介なところです。」

「そうかぁ・・・ やっぱり悪性度は高いということですね。」

「そうですね。。。 かなり強敵ですね。」

●引き分け論

「あらいさんね わたしは サッカーが大好きなんです。 サッカーって勝ったら勝ち点が入りますよね。 」

「はい。」

「負けたら 勝ち点は入りませんよね?」

「はい。」

「引き分けたら・・・ どうなります?」

「勝ち点が入りますね。」

「そうですよね。 引き分けても 勝ち点が入るのですよ。 わたしはね ガンとの戦いって 引き分けでいいと思うのです。」

「引き分け・・・?」

「そうなんです。 やっぱり みなさん ガンに対して 一生懸命 勝とうとするのですよ。 ガンをやっつけるために 何かしたい。 先生たちも ガンをやっつけるために 何かやりたい。 可能性が薄くても 少しでも 勝てる可能性があるなら 何か治療をしたいって思うのですよ。 でもね 勝とうとした結果 たたく以上のダメージを身体が受けてしまったら 負けてしまうことだってあるのです。」

「はい。。。」

「ガンはね 絶対に負けちゃダメなんです。 負けたら終わりなんです。 負けてはダメだけど 勝たなくてもいい。 引き分けでいいのです。 勝とうとする努力も大事ですが ぜったに負けない 引き分けることを考えることも 考え方の一つなんです。」

「なるほど。。。」

「あらいさんは 今 全身 全てを調べた上で 見つかった 一つのガンを取り除きましたよね?」

「はい。」

「だから あらいさんは いま ガンじゃないのです。」

「そうか。。。 そうですね。」

「がんって 取ってしまったあとでも 『わたしはガンだ。 転移したらどうしよう・・・』 と いつもいつも不安に思ってしまいがちなんです。 転移するのが怖いから 何かしなければ・・・と そのことばかり考えて悩んでしまう。」

「まさに その通りです。」

「その気持ちは 十分にわかります。 特に この悪性黒色腫というガンは こわいですから。 でも せっかく悪いものは取れたのだから いまは ガンがない元気な身体です。 いつかまた 転移することがあるかもしれないですが マメに検査は続けて 転移したら その時に じゃあ 今度はどうしよう? と考えるのも いいと思いますよ。」

「・・・ということは まさか・・・??」

「そうです。 何もしない ・・・という選択もあるのです。」

「抗がん剤をやるよりは やらない方がいいような気はしていましたが 何もしない ・・・という考えは ありませんでした。」

「きっと そうですよね。 焦って 今すぐ何かを ・・・と考えないで いまは ゆっくり考える時間と思えたらいいと思います。 不安でいるよりも 心に余裕があるだけで 全然違いますから。 ゆっくり考えて それでも治療をしたいと思うなら それでもいいと思います。」

●新薬について

「では あらいさんが一番聞きたいお話をしましょうか?」

「はい。 新薬のことですよね。」

「今は情報が多いですから おそらく いろいろと調べられたと思いますけど 日本では承認されていない 悪性黒色腫にいい薬が 海外で たくさんできてきました。 その中でも 日本での承認が近い2つの新しい薬があります。 イピリムマブと ベムラフェニブです。」

「やっぱり その薬は 効果がありますか?」

「はい。 抗がん剤よりは はるかに効果があって いい薬であることには間違いないです。 このお薬が いかにいいかというお話になると3時間くらい話をしないといけなくなるので とにかく あらいさんが この薬を使える資格があるかどうかを調べましょうか。」

「はい。 イピリムマブは 抗がん剤をやってしまった人はダメみたいに 聞いたことがあるのですが・・・」

「根治手術のあとの 再発予防の為の化学療法なら だいじょうぶのはずです。 ちょっと確認してみましょう。」

どこかに電話で確認をしている。。

「あとは 脳に転移があったら ダメだったかな? でもあらいさんは 脳転移はシロでしたよね? ベムラフェニブは たしか 民間療法でも いろいろと制限があるので 樹状細胞療法 αβT細胞療法が大丈夫か調べてみましょう。」

また どこかに電話をしている。。。

「漢方は 大丈夫のはずです。」

すると 電話がかかってきて いろいろと話をしている・・・

「よかったですね あらいさんは 今のところ どちらの薬も 基準はクリアしていますね。 ベムラフェニブを使用するには BRAF遺伝子の検査が必要なので 取った肺の組織を持ってきてもらえますか?」

「はい。 じゃあ わたしは 治験を受けることが できるということですか?」

「そうですね。 基準をクリアしていますので 受けることはできます。 」

「そうですか! よかったです。」

「そこで 先ほどの話に戻りますが・・・ 実は あらいさんが 今回の抗がん剤(DAC-tam療法)を行ってしまうと この治験は 受けられないのです。」

「そうなんですか。 なんだ 早く言ってくださいよ!」

「話が遠まわしになってしまったのですが 結局は 新薬を使いたいなら 抗がん剤は できないということなのです。 ただ それだけを説明してしまうと あせって 今すぐ! ・・・ということになると思ったので いろいろとお話しさせていただいたのです。」

「では 新薬は いつごろ使えるのでしょうか?」

「それは 今度 転移したときです。」

「転移したとき??」

「そうです。 あらいさんは いま ガンじゃないですからね。 いつか 転移が見つかったら その時に言っていただければ 新薬を使いましょう。」

「そうか。 何もないんだから 何もすることはないのですね。」

「そういうことです。」

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心と体」カテゴリの記事

コメント

強く前向きでかつ冷静な記述に、いつも感動しています。あらい先生の抱く疑問は、私のととても近く、必ず答えを見つけて下さることに感謝しています。

どんなに辛く大変な状況でも、この先どうするか自分なりに考え、動き解決する生き様は、本当に心打たれます。
そして、山崎先生のご意見。しっかり心に刻んでおこうと思います。

あらい先生の気丈な記述は、とても貴重な宝物です。いつもありがとうございます。そして、これからも声援を送り続けます!

投稿: ito | 2013年11月21日 (木) 12時51分

優しい先生ですね。 ひどい医者も多いですが、親身になってくれる医者も探せばいるものですね。 

投稿: K | 2013年11月21日 (木) 23時16分

良かった〜^ - ^

あらいさん。今、ガンじゃ無い!
って…
心にしみました。(*^^*)
優しく強い先生ですね。山崎先生て…
お話が出来て良かったですね!

あらいさんの勇気もすごいです!

心が洗われたような気がしてます。
*\(^o^)/*

投稿: イルカまま | 2013年11月22日 (金) 00時27分

あらいさんは今はがんじゃない。
言われてみればそうなんですが、
山崎先生の言葉にはっとしました。
実に明快な解答ですね。

勝たなくてもいい
負けなければいいというのもスゴイ言葉。
普遍的な何かを言い当てているようにも思えます。
金言がいっぱいのblogですね。
素晴らしい!

12月からの復活楽しみにしています。

投稿: N田 | 2013年11月22日 (金) 14時16分

itoさん
ありがとうございます。
普段 人と会って話をしているときは あまりつらい顔や 痛いことなど 極力態度に出さないようにしてるので このブログが 読む立場のことをあまり考えず 思いのたけをぶつける場所になってしまっているので 不快に感じなければいいのですが・・・!?

Kさん
山崎先生をはじめ わたしはどうもいい先生に恵まれているようです・・・(^O^)


イルカままさん
いつもありがとうございます。
必死で山崎先生にすがってしまいました。
今はガンでないと言われとっても楽になりました!


N田さん
またまた 12月からふりだしですが ゆっくりやっていこうと思いますので 今後も よろしくお願いいたします。m(__)m


投稿: すじえもん | 2013年12月 7日 (土) 14時17分

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